筒形ウチワサボテンの中には、枝を出して繁茂した茎節が、一応生長が終わると、ひどく茎からはがれやすくなって、ひとりでに風雨に打たれてモゲ落ちたりする。
また、すぐそばを通る動物や何かに、ちょっとでもふれると、トゲでくっついて、そのまま運び去られて、やがて遠く離れたところで地面に落ちると、そこで根をはやして、ちゃんとした一木の植物になる、といった性質をもっているのが少なくない。
これらウチワサボテン類のトゲは、その先端に、顕微鏡的な、微細な逆はり(鈎)がついていて、ちょっと何かにふれて、ほんの先端がささると、とれなくなる、という特徴をもっている。
とりわけ、松嵐のような筒形ウチワサボテンのトゲは、ごく薄いムギワラのようなサヤをかぶっていて、それに保護されており、いつも先端を鋭くトガらせている。
ちょっとそこにさわると、サヤからトゲの鋭い先端が露出していて、チクリとささるしかけになっている。
茎節が成熟したあとは、非常にモゲやすくなっており、地面にこの茎節が落ちると、その場で、下になった部分の刺座から、すぐに気根のように根を出し、上面になった刺座からは子芽を発生して、たちまち生.長繁茂するようになっている。
これはさわったものにくっついて離れなくなり、くっついたまま運ばれてゆくというようなしくみとともに、この植物か、どんどん親木のもとから離れて、何処へでも移動していって、新しい植民地を作るという性質と一環をなすもので、やはり動き回る植物の珍しい例の一つである。